2/26/2010

Stem Cell Week

今週は、なぜかMDACCでStem Cellに関連する内容のレクチャーが色々あったので、色々出席してみました。Stem Cellとは、直訳すると幹細胞のことで、要は増殖したり色々な細胞に分化したりできる、大本の細胞ってことであります。
ちなみに、最近はCancer Stem Cell(癌幹細胞:癌のもとになる細胞)という概念がここMDACCでも流行っておりまして、その絡みなのかと思いきや、全く関係ないStem Cellの話しもあったりなんかしてました。

①Epithelial stem cell(上皮幹細胞)
上皮のstem cell って、粘膜とか皮膚とかのstem cell 全般の話しかと思っていたら、なんと髪の毛のstem cell でした。毛のもとになる細胞は、毛根の一番奥にあるのかと思っていたら、本当は毛穴に入ったすぐ脇にあるそうです。ケラチン-15っていうマーカーを持つものが毛の幹細胞なんだそうな。傷跡になぜ毛が生えないかとか、どうしたら生えるかとか研究してました。
発毛の研究って、誰か絶対していると思ってはいましたが、本当に研究している人には初めて会いました。

②Stem cell therapy for cardiovascular diseas (心臓・血管病の幹細胞治療)
患者自身の骨髄からStem cellを取り出し、それを心筋梗塞後の心臓に直接注入したり、ASOの足に注入したりしておりました。
感動したのは心臓に直接針を刺すための装置。2個の大きな磁石を使って、心臓の中から心臓の壁の好きなところを狙って正確に刺す装置が使われていました。治療法自体は、効果はあるけどまだまだ不十分って感じでしょうか。年寄りの骨髄は機能が落ちていてうまく行かないってことも多々あるようでした。

③Thrombotic Microangiopathy after stem cell transplantation

TTPなどの血栓症全般のお話しと、骨髄移植後の血栓症についてのレクチャーでした。骨髄移植後の血栓症は、非常に致死率が高いそうな。血栓症に対する新しい治療薬というか、治療法として、ここでも分子標的薬が使えそうってことでした。
TTPの脾臓摘出ってとても怖い手術だったなあ。手術なんて野蛮な治療法は、早くなくなって欲しいなあ、と思いながら聴いてました。

④Ethics for Stem Cell Reserch and Therapy
オバマ大統領になり、アメリカでも本格的にES細胞を使った研究が始まったようですが、幹細胞研究および治療における倫理的な問題点に関するレクチャーでした。日本語でも難しい内容なのに、英語で分かるか不安でしたが、色々具体例を挙げて問題提起していたので分かりやすかったです。
例えば、「ES細胞の樹立のための受精卵を得るためにお金を払ってはいけない」のですが、「不妊治療では卵子が$5000~$15000で取引されている」という現実があったりして。日本のヒトES細胞は不妊治療で余ったものを使ったはずですが、アメリカではそれもできない?

今週は色々なレクチャーを聴いてきましたが、ここMDACCは医者・研究者向けのレクチャーが多いです。可能な限り色々な知識を吸収して帰りたいけど、やっぱり分子生物学もうちょっと勉強しないとダメだな。

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